山本昌について
日本のプロ野球選手の寿命も近年伸びつつあり以前は30代後半になるとベテラン扱いされて引退するのが大方のパターンであり、一兵卒で45歳迄マスクを被り続けた当時西武ライオンズのキャッチャーだった野村克也は特異な例であり他に高齢で現役として試合に出場したのは阪急ブレーブスの兼任監督だった浜崎信二が48歳で登板したのが日本のプロ野球では現役最年長となっていた。
その日本記録を塗り替える選手はなかなか現れないと思われていたところにあっさり記録に並び更に不倒の50歳を越える選手が現れた。
神奈川県出身で1984年に日大藤沢高からプロ入りして以来中日一筋で投げぬいた背番号34の左腕投手の山本昌(本名:山本昌広)であり長年に亘って投げ続けられたのは彼が恵まれた大柄な体格で滅多に故障をしない体調管理もあって50歳を越える迄現役を続けられた。
中日へ入った当初は業務提携のあった大リーグのロサンゼルス・ドジャースのマイナーリーグへ野球留学に派遣されていたが、先発陣の人材不足だったチーム事情から指揮官だった星野仙一監督に呼び戻される形で日本に帰国してシーズンの途中から合流した1軍のマウンドで好投して実績を積み上げて先発ローテーションの一角を占める存在になって行った。
特にセ・リーグ優勝を果たした1998年のシーズンは8試合と登板した試合数は少ないながらも5勝0敗で防御率が0.55で被本塁打1の勝率10割という抜群の成績で中日ドラゴンズのリーグ制覇に大きく貢献して中日に山本昌広ありとその存在を知らしめた。
全盛時には相手打者を飲み込むかの様にマウンド上で仁王立ちして大柄な体格からダイナミックな投球フォームで大きく振り被って投げ込むピッチングには、相手打者には威圧感を与える迫力もあって豪快な投球で次々と三振に仕留めて行った。
投手としての通算成績
投手としての通算成績が219勝165敗5セーブで防御率は3.45であるが特に対読売ジャイアンツには43勝、対阪神タイガースには47勝という具合に巨人キラー・虎キラーとも言える程に両チームとの対戦は得意であった山本昌は1994年に沢村賞を受賞したシーズンには19勝を挙げて、1993年には17勝と1997年には18勝で最多勝利3回・2.05という最優秀防御率1回・159個の最多奪三振1回のタイトルを獲得した他にも、ベストナイン2回・オールスター戦出場6回の多くの実績を残して、更に2006年9月16日の対阪神戦では最年長でのノーヒット・ノーランも達成して2008年には200勝に到達して名球会入りを果たしている。
浜崎信二の最年長記録に並んだ48歳以降はマウンドに立っても打席に入っても打球が飛んでも全てが記録更新となって、最年長出場・最年長打席・最年長登板・最年長奪三振・最年長完投・最年長先発・最年長完封・最年長勝利・最年長ホールド・ポイント等を記録した。
晩年になっても現役を続けられたのは巨人から来た川相昌広や長年チームイトだった山崎武司や監督兼任の谷繁元信らのベテラン組が居たのもあり、今でも岩瀬仁紀や荒木雅博といったベテラン勢が健在でそういう環境にあったのも恵まれていた。
故障知らずの丈夫な体だったのが引退を決心したのは2015年8月9日にナゴヤドームで行われた対ヤクルト戦に現役最年長勝利を賭けて先発登板した試合で、勝てば大リーグジェイミー・モイヤー(コロラド・ロッキーズ)の最年長勝利を上回れるという試合の2回表の投球時に利き手の左の人差し指に突き指をしてしまい、わずか22球を投げただけで無念の降板となったのがきっかけで、潮時を感じて長きに亘った現役生活から身を引く決心をした。
バッターとしての山本昌
投手としても一流だったがバットを持って打者としても器用なバッティングで打席ではホームランは打たなかったがバットコントロールは上手くて時折ヒットも打ったし、チャンスを広げる為の送りバントも上手かった。
現役最後の登板となった2015年10月7日のマツダズームズームスタジアムでの対広島戦で先発登板して丸佳浩と対戦してセカンドゴロに打ち取り長きに亘る現役生活を終えた。
記録も沢山残したが記憶に残る名投手でもあった山本昌は引退後にはトークも得意な様で分かり易い野球解説者として各放送局から引っ張りだこである。
引退後は趣味のラジコンを操作して楽しんでいるが一芸に秀でたものは・・・、の例え通りでスイッチを扱い操作する腕前はプロ級らしく流石である。
50歳を越えての現役続行は他にはサッカー界でJ2の横浜FCでプレーしている三浦知良が居るが、彼も厳しい体調管理でボディーケアをして頑張っているが、長寿の選手には徹底した体調管理と故障しない恵まれた丈夫な体が揃ってこそのものであり並みの選手には高いハードルであるし、高齢のベテラン選手が戦力として在籍出来るチームの状況にもよるのでこればかりは何とも言えないが、それを乗り越えて50歳を越えての現役プレーヤーが現れるのに期待している。
引用元:山本昌 事務所
最終更新日 2025年5月12日